危険な空き家(特定空家)は固定資産税軽減措置(住宅用地特例)除外

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危険な空き家を減税対象から除外

2015年度以降は、空き家対策特別措置法にもとづき「特定空き家」に認定され、必要な措置をとるよう勧告を受けると、固定資産税や都市計画税の「住宅用地特例」の対象外となります。

 

固定資産税・都市計画税が大幅な増税になるので、注意が必要です。

 

空き家全般が対象となるわけではありません。特定空き家に認定され、指導を受けても改善せず、必要な措置をとるよう勧告を受けた場合です。

 

目次

  1. 住宅用地特例とは?
  2. 住宅用地特例の具体例1(敷地面積が200u以下の場合)
  3. 住宅用地特例の具体例2(敷地面積が200uを超える場合)
  4. 住宅用地の特例対象から除外されると税額はどうなる?

 

住宅用地特例から特定空き家を除外する法的根拠

空き家対策特別措置法では、「国及び地方公共団体は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする」(第15条2項)と定められています。

 

2015年度(平成27年度)税制改正大綱(2015年1月14日閣議決定)で、「空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する措置を講ずる」とされました。

 

これを受け地方税法が改正され、「勧告された特定空家」を住宅用地の特例対象から除外する規定が設けられました。

 

住宅用地特例とは?

住宅用地特例とは、住宅用地にかかる固定資産税と都市計画税について、課税標準を引き下げる特例措置です。

 

住宅用地の敷地面積に応じて、課税標準額を6分の1(200u以下の部分の敷地)または3分の1(200uを超える部分の敷地)とし、都市計画税の課税標準額を3分の1(200u以下の部分の敷地)または3分の2(200uを超える部分の敷地)とします。
(地方税法349条の3の2、同法第702条の3)

 

つまり、住宅用地特例の適用対象となると、固定資産税が最大6分の1に、都市計画税が最大3分の1に軽減されます。

 

住宅用地とは、居住用家屋の敷地の用に供されている土地です。店舗などと併用の場合は、床面積の4分の1以上が居住用であることが条件です。

土地の面積が家屋の床面積の10倍を超えるときは、10倍を限度とします。

 

固定資産税の住宅用地特例

区分 固定資産税
更地 建物がない状態 課税標準×1.4%
小規模住宅用地 住宅1戸につき200u以下の部分 課税標準×1/6×1.4%
一般住宅用地 住宅1戸につき200uを超えた部分 課税標準×1/3×1.4%

※課税標準は、固定資産税課税台帳に登録されている固定資産税評価額です。
※税率1.4%は標準税率です。市町村により異なる場合があります。

 

  • 小規模住宅用地(200u以下)は、課税標準が評価額の6分の1になります。
  • 一般住宅用地(200u超)は、200uを以下の部分は課税標準が評価額の6分の1、200uを超える部分は課税標準が評価額の3分の1となります。

 

都市計画税の住宅用地特例

区分 固定資産税
更地 建物がない状態 課税標準×0.3%
小規模住宅用地 住宅1戸につき200u以下の部分 課税標準×1/3×0.3%
一般住宅用地 住宅1戸につき200uを超えた部分 課税標準×2/3×0.3%

※税率0.3%は制限税率です。市町村により異なります。

 

  • 小規模住宅用地(200u以下)は、課税標準が評価額の3分の1になります。
  • 一般住宅用地(200u超)は、200uを以下の部分は課税標準が評価額の3分の1、200uを超える部分は課税標準が評価額の3分の2となります。

 

具体例を見る

住宅用地特例を受けられる場合と受けられない場合とでは、どれくらい税額に差が出るか、具体的に見てみましょう。

 

小規模住宅用地(敷地面積が200u以下)の場合

200u(小規模住宅用地)の更地と住宅用地の場合で、固定資産税と都市計画税を比較してみましょう。次のようなケースで考えてみます。

  • 固定資産税評価額 1,800万円
  • 固定資産税の税率 1.4%
  • 都市計画税の税率 0.3%

 

更地の場合

評価額がそのまま課税標準となります。課税標準に税率をかけて計算します。

  • 固定資産税

    1,800万円×1.4%=25万2千円

  • 都市計画税

    1,800万円×0.3%=5万4千円

 

住宅用地の場合

固定資産税は評価額の6分の1が課税標準となり、都市計画税は評価額の3分の1が課税標準となります。課税標準に税率をかけて計算します。

  • 固定資産税

    1,800万円×1/6×1.4%=4万2千円

  • 都市計画税

    1,800万円×1/3×0.3%=1万8千

 

建物が建っていることによって、固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されます。

 

一般住宅用地(敷地面積が200u超)の場合

300u(一般住宅用地)の更地と住宅用地の場合で、固定資産税と都市計画税を比較してみましょう。次のようなケースで考えてみます。

  • 固定資産税評価額 2,700万円
  • 固定資産税の税率 1.4%
  • 都市計画税の税率 0.3%

 

更地の場合

評価額がそのまま課税標準となります。課税標準に税率をかけて計算します。

  • 固定資産税

    2,700万円×1.4%=37万8千円

  • 都市計画税

    2,700万円×0.3%=8万1千円

 

住宅用地の場合

固定資産税

課税標準は、300uのうち200uが評価額の1/6、残り100uが評価額の1/3に軽減されます。

  • 2,700万円×200u/300u×1/6×1.4%=4万2千円
  • 2,700万円×100u/300u×1/3×1.4%=4万2千円

固定資産税 8万4千円

 

都市計画税

課税標準は、300uのうち200uが課税標準の1/3、残り100uが課税標準の2/3に軽減されます。

  • 2,700万円×200u/300u×1/3×0.3%=1万8千円
  • 2,700万円×100u/300u×2/3×0.3%=1万8千円

都市計画税 3万6千円

 

建物が建っていることによって、固定資産税は約22%に、固定資産税は約44%に軽減されます。

 

住宅用地の特例対象から除外されると税額はどうなる?

住宅用地の特例対象から除外されると、いっきに固定資産税が6倍、都市計画税が3倍に跳ね上がるわけではありません。

 

課税は1月1日が基準

固定資産税や都市計画税の課税は、毎年1月1日が基準日です。ですから、特定空き家に認定され勧告を受け、改善されず賦課期日の1月1日を迎えると、住宅用地の特例対象から除外されます。

 

もし、年内に状態が改善され、特定空き家の認定が取り消されたら、引き続き住宅用地特例を受けられます。

 

負担調整措置により課税標準は評価額の7割が上限

住宅用地の特例対象から除外されると「固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になってしまうの?」と心配されるかもしれませんが、一気にそこまで増えることはありません。

 

固定資産税や都市計画税の住宅用地特例が適用されない場合の税額は、課税標準額の上限を評価額の7割とするなどの負担調整措置や各市町村による条例減額制度にもとづき決定されることになります。

 

だからといって、安心はできません。

 

勧告を受けた特定空き家は、必ず増税になります。

  • 固定資産税は、住宅用地の課税標準額が評価額の6分の1、非住宅用地の課税標準額が評価額の70%ですから、住宅用地特例を受けていた時と比べて、最大4.2倍の増税となります。
  • 都市計画税は、住宅用地の課税標準額が評価額の3分の1、非住宅用地の課税標準額が評価額の70%ですから、住宅用地特例を受けていた時と比べて、最大2.1倍の増税となります。

 

勧告を放置していると、次は命令です。命令違反は、最大50万円の罰金が科せられます。さらに代執行になれば、数百万円もの解体費用を請求されることになります。

 

何より、特定空き家は、いつ倒壊してもおかしくない危険な状態です。周囲に悪影響も与えます。被害が起きれば、損害賠償請求されることにもなりかねません。

 

修繕や解体など早めに対応することが大切です。特定空き家のリフォームや解体には、自治体の補助を受けられる場合があります。お住いの市町村に相談してみるとよいでしょう。

 

 

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