中古マンションを個人間売買

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中古マンションを個人間で売買できるサービス開始

(2015年11月6日)

中古マンション

 

ヤフーとソニー不動産が5日、個人がインターネット上で中古マンションを売買できるサービスを開始しました。新しいサービスは「おうちダイレクト」と呼ばれます。

 

まず、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、江東区)のマンションを対象に立ち上げ、2016年1月以降、順次サービス提供エリアを広げていく予定です。

 

「おうちダイレクト」の特徴と仕組み

仲介業者に頼ることなく、マンション所有者が自分の好きな価格で売り出すことができます。

 

新サービスのカナメとなるのは「不動産価格推定エンジン」。自宅マンションを登録すると、推定成約価格(システム推定価格)が分かります。ソニーとソニー不動産が開発した人工知能です。

 

システム推定価格は、物件の立地や部屋の特徴などの情報を、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の約5万棟のマンションの取引データに照らし合わせて算出。推定制度は、業界最高水準とされています。

 

マンション所有者は、不動産仲介業者と媒介契約を結ぶことなく、自宅の物件情報を「Yahoo!不動産」に掲載し、購入希望者を募ることができます。物件掲載時の売り出し価格は、システム推定価格を参考にして、オーナーが自由に設定できます。

 

購入検討者は、所有者に対して、物件に関する質問をウェブサイト上で直接できます。一方、所有者は、その物件のアピールポイントを購入検討者に直接伝えることができます。

 

なお、物件の見学、売買条件の調整・交渉、重要事項説明、売買契約の締結、売買代金の決済、物件の引渡しなど一連の不動産取引実務は、ソニー不動産が支援します。仲介手数料は、買い手からのみ「成約価格の3%+6万円(税別)」を受け取り、売主の仲介手数料は無料としています。

 

一気に広がりを見せるかどうかは未知数

ヤフーとソニー不動産は、「日本国内の中古住宅流通市場の活性化を目指す」としています。注目される新サービスですが、一気に広がりを見せるかどうかは未知数です。

 

1つは、トラブル回避策が、まだ十分整備されていないことです。横浜市でマンションの杭打ち工事のデーター偽装が発覚し、業界の構造的な問題が明らかになっているときだけに、売買成立後のトラブル対応などが懸念されます。

 

不測の事態が起こったとき、個人間の売買では、売主が対応の矢面に立つことになります。「想定されるトラブルについては、関係省庁や機関と日々詰めている」(ソニー不動産・日経11月6日付)ようですが、環境整備が十分でない現状では、二の足を踏む消費者も出てくるでしょう。

 

もう1つは、業界団体との関係です。不動産流通経営協会は「みずからが不動産の取り引きに関わるのは公平性が保たれない」として、12月以降、ヤフーへ住宅情報の提供を取りやめると発表しています。

 

たしかに、その主張にも一理ありますが、これには業界関係者から賛否両論あるようです。

 

ソニー不動産は、不動産仲介における「両手取引」という商習慣に風穴を開ける「業界の風雲児」とされてきました。消費者にとっては、仲介手数料無料につながるのでありがたいことですが、「両手取引」を常としてきた一部の不動産業者にとっては目障りな存在です。

 

今回、ヤフーとソニー不動産が新サービスを始めるにあたり、両社は業務・資本提携しました。不動産流通経営協会が、ヤフーへの情報提供を停止するのは、「ソニー不動産を弱体化させる思惑がある」ともいわれています。不動産業界の悪しき慣行を打破するのは、簡単ではなさそうです。

 

今回の新サービスが、不動産業界の慣行に一石を投じ、中古不動産市場を見直す契機になることは間違いないでしょう。しかし、トラブル回避の環境整備など、解決しなければいけない課題は、多そうです。

 

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