中古戸建住宅の建物評価の改善方向とポイント

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中古戸建住宅の評価手法を改善

日本の中古戸建住宅の取引市場では、住宅の状態にかかわらず、一律に築後20〜25年で建物の市場価値はゼロとされてきました

 

明らかに住宅の価値が回復・向上するリフォームを行っている場合であっても、査定価格に反映されないのが一般的です。

 

そのため、中古戸建住宅を売ろうとしても、価格が付くのは土地だけ。建物は価値がないばかりか、場合によってはマイナス要因となります。

 

このことが、中古住宅流通市場の活性化を阻害する要因となってきました。

 

一方で、長期優良住宅のように適切な維持管理を前提として、100年以上の使用を想定する住宅も供給されています。

 

こうしたことから、国土交通省は、全ての住宅が一律に経年減価し、築後20〜25年で市場価値をゼロとする評価の現状を改善するため、2014年3月31日に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定しました。

 

指針で示された、中古戸建住宅の建物の評価の改善の方向性は次の2つです。

 

  • 人が居住するという住宅本来の機能に着目した価値を評価の対象とする。
  • 個別の住宅の状態に応じて、住宅の使用価値を評価する。

 

指針は、現在の原価法の運用を改善し、より精度を高めるための評価のあり方を提言したものです。

 

なお、指針で示された具体的な評価の仕方は、中古戸建住宅の大半を占める木造を対象としており、軽量鉄骨造や鉄筋コンクリート造など他の構造の住宅の評価にかかる指針の援用については今後の検討課題とされています。

 

適正評価のためのポイント

指針で示された、中古戸建住宅の価値を適正に評価するためのポイントは、次の3つです。

 

住宅を構成する部位の特性に応じて評価する

住宅を構成する部位ごとに耐用年数が異なります。基礎や躯体は、比較的長期にわたって機能を維持できますが、内外装や設備などは、それよりも短い期間で修繕や交換が必要になります。

 

そのため、住宅の価値を適切に評価するためには、住宅を一体として減価修正するのではなく、耐用年数が異なる部位ごとに減価を把握した上で、住宅全体の価値を算出するのが合理的です。

 

指針では、住宅の構成部位を大きく「基礎・躯体」と「内外装・設備」に分類し、さらに補修の頻度などの観点から、内外装・設備を分類することが適当とされています。

 

次のように分類して、各部位ごとに評価することを標準としています。

基礎・躯体
内外装・設備 外部仕上げ
  • 屋根材
  • 外壁材
  • 外部建具
内部仕上げ
  • 内部建具
  • 内装仕上げ
設備
  • 台所
  • 浴室・洗面・トイレ
  • 給排水・給湯設備
  • 照明器具・電気設備

 

これらの各部位ごとにそれぞれ再調達原価を算出し、各部位の特性に応じて減価修正を行った上で合算し、建物全体の価値を算出する方法が推奨されています。

 

再調達減価とは、評価する時点で同じものを取得する場合に必要となる価格のことです。

 

耐用年数の考え方

各部位の耐用年数は、本来要求される機能を維持し、社会通念に照らして通常価値があるとみなされる期間、すなわち、取引後も引き続き使用できると認められる期間と捉えることが適当とされています。

 

基礎・躯体

木造戸建住宅の躯体は、防蟻処理や防水・防湿などが適切に行われていれば、蟻害や腐朽が発生せず、長期間にわたって機能を維持することが可能です。

 

つまり、住宅の劣化対策の程度に応じて、減価のスピードも異なるということです。

 

そのため、基礎・躯体については、機能・性能に応じて20〜25年より長い耐用年数を設定し、例えば、長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることも許容されるとしています。

 

内外装・設備

内外装・設備は、基礎・躯体に比べ、比較的短期間に劣化や陳腐化が進み、住宅の部位としての機能を保つためには、定期的な補修や交換を行います。

 

つまり、補修や交換が適切に行われることによって、その使用価値が回復・向上するということです。

 

そのため、例えば、同等の機能を有するものへ更新するのであれば、100%まで使用価値が回復すると見ることも許容されるとしています。

 

リフォームによる価値の回復・向上の反映

基礎・躯体の機能は、適切な劣化対策や維持管理によって機能が長期間維持されます。

 

なので、基礎・躯体の機能が維持されている住宅については、内外装・設備の補修や交換を行った場合、住宅全体の使用価値が回復・向上すると考えるのが妥当です。

 

一方、内外装・設備が機能を維持していたとしても、基礎・躯体部分に本来求められる機能が失われていれば、住宅全体としては用を成しません。

 

ですから、このような場合には、内外装・設備の機能が維持され、補修や交換によって回復・向上していたとしても、住宅全体の使用価値には反映されません。

 

つまり、基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームにより住宅の価値が回復・向上すると捉えて評価に反映されます。

 

リフォームによる価値向上の例

公益財団法人・不動産流通推進センターによれば、築15年目でリフォームを実施した場合、その時点で建物の評価が15%以上高まり、築25年目でもリフォーム無しの場合より12%以上高く評価されるとされています。

 

この例は、一般的な木造戸建住宅で、外部建具・内部建具・内装仕上げを全面取替えしたケースです。

 

※公益財団法人・不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」より。

 

まとめ

これまで中古戸建住宅の建物の評価は、全ての住宅が一律に減価し、20〜25年で市場価値がゼロになるとされてきました。

 

近年、住宅の性能は飛躍的に向上していますが、中古住宅市場には性能の低い住宅や維持管理状態の悪い住宅も多く、それらに引っ張られる形で、中古住宅全体が低い評価を受けています。

 

慣例によって一律に減価を行う評価でなく、個々の住宅の状態に応じて使用価値を適切に評価することが大切になっています。

 

国からも中古戸建住宅の評価改善の指針が示されていますから、不動産会社から査定報告を受けるときには、十分注意したいところです。

 

 

 

中古住宅の評価の改善点について詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。

 

「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」
 ※国土交通省のWEBサイトにリンクしています。

 

 

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